きっと僕らのその先は

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二年が経った頃には、お互いがお互い負けず嫌いを拗らせ社内では有名な犬猿の仲として有名人になっていた。 譲り合いの精神だとか、思いやりの心だとかは一切なし。 新人で配属された営業部の中では周りが面白がるほどに対立し合い、お互いがお互いを越える事しか考えていないそんな性格の不一致さ。 売った喧嘩に買った喧嘩、志のにとってあの日と思い返すだけとなった過去のパイプ椅子に嬉しさを覚えた笑顔の影はもうなかった。 由紀がどうして“ぞっこん”だとかふざけた例えをしたのかは置いといて、男として見るつもりもない名前に私は思わずカウンターに八つ当たりした。 「由紀が思ってる関係じゃない!!」 「そんだけ声が出るならもう元気だわー、安心した―」 ムキになった私を見て由紀は鼻で笑う。 勝ち誇った様なその笑みは私をムッとさせるのには十分だ。それに、明科の名前を出された時点で酔いも眠気も醒めてしまったせいか、またグラスに注がれていたお酒に勢いよく口を付けた。 最初は女らしく組んでいた脚も、だらしなく、そして男らしくどっしり開かれ、地に足ついたという言葉が良くお似合いな構え座りをしていた。 「私はお似合いだと思うんだけどなー、志のと明科くん」 「由紀、そろそろ怒るよ・・」 「だって、見てると同族嫌悪的な感じなんだもん、志のの事重いって振る男共より数十倍いいと思うよ。顔だってよく見ると整ってるし」 「・・じゃあ、由紀がいけばいいじゃない」 「あー、私ねあーゆうなんて言うの?気が強いっていうか、理詰め系男子無理」 だったら何でそこまで褒めたたえたんだよと心の中で悪態付きながら、志のはもう一杯グラスを仰いだ。 「大体ね、あいつは突っかかってき過ぎなのよ。」 「そう?」 またも飛沫を上げたコップがカウンターに染みを作る。それをそっと拭き取る由紀も、最早興味のない声で相槌を打っていた。 それを分かってても私は話すことを止めようとしなかった。 「そうよ、いつも逃げの営業ばっか。一歩踏み出すのが怖いだけの臆病者よ」 「逃げの営業、臆病者ねぇ」 「それにね・・それ・・に、・・え?」 「おい、誰の話してたんだ?その話、詳しく知りたいな、俺」
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