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「船山、学生時代にこれくらいしてるでしょ?」
え?したことない??なんて不真面目な学生だったんだ、と豪快に笑う社長。
笑わないでください…。
ひたすらこの手の遊びにご縁が無い学生もいるんですっ
社長の気まぐれで、今年のお伴に選ばれてしまった俺は、見たことも触ったことも無い小道具が転がる狭い部屋で、言われた通りにひとりで身仕度を整える。
断ろうと思えば出来た。
でも、相手は勤め先のトップだし、今、このタイミングで大好きなこの職場を辞めるつもりは無いし、まさか無いだろうけど、断ったことでクビになったら困る。
…それに、ほんの少し、この機会に冒険してもいいかなと思っちゃったんだ、俺自身が。
準備のために据え付けられた壁の鏡。そこに映るのは、見慣れない自身の姿。
心臓が口から飛び出しそうだ。
恐る恐るカーテンを開けると、先に準備が済んでいる社長に全身をくまなく見つめられる。
入社5年目。この人に、こんな値踏みみたいな目線を向けられるのは入社試験以来の事だ。
脚の付け根に付けられた金具の辺りに視線を感じる。付け方間違えただろうか…
スッと社長の手がそれを締め直す。
「怪我したくないだろう? 素人なんだから、任せておけば良いんだよ。」
いつものからかう様な口調が一転し、真剣なものに。
それでも目が合うと軽く微笑んでくれるのは、緊張しすぎている俺を気遣っての事だろう。
ええい!もうなるようになれっ!!
自分で決めてついて来たんだ。そのまま駆け抜けるしかない!!!
そう開き直って大きく息を吸い込んだ。
無意識に呼吸が浅くなっていたらしい。
途端に胸の奥まで新鮮な空気が満ちてきた。
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船山君は学生時代にこのスポーツの経験はないようです。スポーツ?レジャーか?
エロそうに言いつつエロくないのがこのシリーズ。諦めてお付き合い下さい。
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