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「いいぞ船山――っ!!」
遠く、後方から、拡声器越しの社長の声が聞こえる。
着地の指示に従い、パラシュートの舵取り穴を左右全開にして高度を下げる。
脚への負担がかかるので、空中を走り続けるイメージで脚を動かして衝撃を分散する。
草地の斜面にふわりと足裏がついた。
背中のパラシュートが絡まないように、破けないように減速する。
「上出来上出来♪ 初日でテイクオフ出来るなんて、なかなかやるなぁ!」
「ありがとうございます!!俺自分でもびっくりしましたよ、このまま飛んで行っちゃうのかと!!!」
「あ…それは無いわ。あれ、初心者用の飛ばないパラだから♪浮いても5m程度w」
え…?20mは飛んだと思ってたのに。ほんの数メートルだったのか…
「じゃ、船山は着替えて皆と合流して。ホテルの送迎車、呼んであるから。
それから、この件は他の奴らには言うな?全員の面倒を見ていたら、自分の飛ぶ時間が無くなるから!」
そう言って社長は自分のパラグライダーを拡げ、颯爽と黒姫高原の山肌を駆け降り、空へと吸い込まれていった。
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