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昼食で混雑するレストランに入った泰平の目に見慣れた顔が映った。
前の会社に同期入社した元同僚だ。
「おう!久しぶり、隣りいいぞ」
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まどかの通う麒麟女子高等学校。
「まどか、テストどうだった?」
「まぁまぁ、赤点取らない程度かな?」
「またぁ、何時もそう言って上行くじゃん」
「はい!静かに!次に呼ばれる人は進路指導室前に集まって!」
「周まどかさん!○○×子さん!△□さん!」
「まわりさん、どうぞ」
手元の資料を確認しながら
進路指導の先生は顔を傾け、眼鏡の隙間からまどかを確認すると着席させた。
「まわりさんは第一志望を変更したいとの事だけど?」
「はい、第一志望は止めて第二志望に集中しようと思うんです」
「君の偏差値なら第一志望でも余裕だと思うんだけどねぇ」
「両親が別居中なので、地元の国立大に自宅から通おうかと・・・」
「立ち入った話になるけど、ご両親の仲が悪いとか?」
「いいえ、そんなんじゃなくて・・・」
まどかは少し緊張しながら、何時に無く冷静に説明するよう心がけようと思った。
「あたしの教育方針で揉めてるんです、父は厳しくて母は放任というか」
「教育方針が合わなくて、父の単身赴任を機会に別居しようって・・・」
「複雑なんだね、じゃあ将来離婚も考えられると」
「あたしの為にそれは無いと思います」「母があたし中心なんです」
「あたしがしっかりしていないと、母がかわいそうだし」
「父にこれ以上経済的負担を掛けたくないんです」
「そうじゃあ奨学金の話とか・・・・資料を・・・」
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