第1章

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第1章

恋愛は自由だというのが、私の持論だ。 相手が誰であろうとも好きになる時はなるし、好きになってはいけない人など存在しない。 つまり、誰を好きになったって別に良いんだ。 「ごめんね」 高校2年の始まり、桜が満開の中庭で、友人の遥が涙を拭った。伸びきったボサボサの黒い髪が、桜の花びらと一緒にふわりとなびく。 「言わないでおこうと思ったよ。けど、こんな思いを隠しておきながら千秋と過ごすのは、どうしたって出来ないから」 私の顔を見上げて、すぐにうつむく。言葉を待っている遥の肩は、小刻みに震えていた。 多分。想い人と友人との間で遥はずっと揺れてたんだ。 好きになってはいけない人を、好きになってしまったから。 だから私は頷いた。 「いいよ、別に。隠さないで良い。話してくれて、ありがとう」 そう言うと、遥に笑顔が戻る。 友人が私の恋人に恋をした。 そんな春が始まった。
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