大切な命

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大切な命

 美和がゆーにはカレとエッチしたときに不正出血が出て、腰痛がひどくなったらしい。  産婦人科に行って尿検査や内診したらしい。  内診ってのはいわゆる、触診のことだ。     ケツから指入れて調べるんだって、そりゃ痛いわ。HPVってゆー聞いたことのない病名だ。  私は美和を叱りつけてしまった。 「どーして早く病院に行かなかったんだよ!?」  美和は電話口でシクシク(;_;)泣き出した。  私だって辛かった。  相当なダメージを受けている美和の心を土足どころか、スパイクで踏みつけてしまった。 《どーして怒るの?ワタシ、何にも悪いことしてないのに…………》  消え入りそうな美和の声に胸の内側から涙が込み上げた。 「ごめんね?(>_<)責めてるつもりはないんだ、イヤだよぉ、また北斗の拳ごっこしようよ~?」 《う~ん(-_-;)できるかなぁ?死にたくないなぁ(-_-;)うつ病になりそう(-_-;)》 「だっ、大丈夫だって!美和、あのリキヤを倒したんだよ?そのアンタが死ぬわけないじゃん?」  リキヤってのは中学のときに校舎に乗り込んできたチンピラだ。スキンヘッドで上半身真っ裸で蛇が絡みついたタトゥーを入れていた。  木刀で生徒たちをボコボコにしているところをバコーン!って美和がドロップキックを喰らわせて一撃で倒してしまった。 《ハァ~(-_-;)あんたは気楽でいいよ(-_-;)》  私だってイロイロ悩みはあるんだ!  アチコチの男とやりまくったからなアタシも。  こえーなぁ、子宮頸がん。 《生理のときにドロッとしたゼリーみたいな血が出たら病院行きなよ?エッチを経験した女だったら誰にでも保有してるんだって?HPVってのは…………ハァ~処女に戻りたいわ(-_-;)》  エッチ怖い!エッチ怖い!エッチ怖い! 《やべー、そろそろ10分だ。これ以上話すと金かかる、入院や手術で金がかかるんだ、じゃね?》    スマホを持ったまま動けなくなった。  どうして、美和が!?  何としてでも助けてあげたい!  涙と鼻水をセーターの袖で拭った。  ティッシュ持ってきてないや。  ドアが開いてカラリンとカウベルが鳴った。  寒い風が入り込んでくる。 「ったくキムタクもつれねーよなぁ?」  石橋貴明みたいな喉声がした。  金髪のヤバそうな奴が入って来た。 「え?キムタク?」
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