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「片桐君、美紀に戻ると思ったんだけどなぁ……」
亀岡先輩と仲良しの梨香ちゃんは同期同士のカップルでゴールインして欲しかったらしく残念がってるけど、相原君はひそかに経企室の小粒ちゃん支持だ。
垢抜けなくて目立たない子だけど、よく見るとおめめパッチリで結構かわゆい。
たまに社食で見かける二人、カップルだとは誰も気付かないけど、よーく観察するとわかる。
小粒ちゃんの食べきれないおかずを王子が代わりに食べてあげてる仕草が自然すぎるところとか。
混んだエレベーターで王子が小柄な小粒ちゃんを庇う様子とか。
ウンウン、わかるよ王子。
相原君も梨香ちゃんで華奢な女の子に開眼したからね。
「むふふふふー」
勝手に王子に連帯感。
「何なの?恥ずかしいよ、もう」
梨香ちゃんにまで残念な目で見られたりしてる間に、ようやく入国審査の番が来た。
どこの国でも、何回やっても入国審査でドキドキするのは相原君だけ?
やましいことは何もないのに、いつも他の人より長い時間、ジロジロと顔とパスポートを見比べられる気がする。
だから相原君、余計に目が泳いでしまうのだ。
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