第4章

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「なのに駄目出しされて。 ひたすら前に進んだはずなのに、そうじゃなかったんだなって」 「違いますよ、先輩」 小椋や崎田みたいな頼りにならないメンバーが多いアジア部を先頭で牽引してきたのは先輩だ。 弱さを隠してその立場を務めてきたこの十年、どれだけの犠牲を払ったきたことだろう。 「先輩がやって駄目なら誰がやったって駄目だと、そう思ってる人はたくさんいますよ」 でも、所詮後輩に過ぎない俺には偉そうなことは言えなかった。 「でも、片桐主任ならできるって引き合いに出されたわ」 アジア部長発言で、ここが一番腹立たしい点だ。 片桐主任は部下の深沢さんにもっと寄り添っている、彼を見習え、と。 長年海事にいるなら先輩と片桐主任の経緯も知っているだろうに、逆手にとれば効果的だとでも思ったのだろうか? バカじゃなかろうかと思う。 彼女に頼りすぎるばかりか無神経甚だしい発言までするとは、それこそ上司失格だ。
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