第4章

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「はい、篠田です」 『あっ、篠田君?ごめん!こっそり手伝ってやろうと思ったら、データが消えちゃったんだよ!羽鳥君もいないし』 消えたんじゃなく、消したんだろうが。 「大丈夫です。 バックアップ取ってますから。 すぐ戻ります」 手短に通話を切って彼女に向き直る。 だけど彼女は先程の表情が嘘のように、普段の余裕の表情に戻ってしまっていた。 「ごめんね、戻る時間ね。 何かトラブルあったの?」 「部長がファイルを消してしまったと」 「機械オンチだものね、そっちの部長は」 「分かってないくせにいじるんですよ」 せっかく彼女が心の深層を見せてくれた気がしたのに。 席を立ちながら、タイミングの悪さが少し残念だった。
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