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「はい、篠田です」
『あっ、篠田君?ごめん!こっそり手伝ってやろうと思ったら、データが消えちゃったんだよ!羽鳥君もいないし』
消えたんじゃなく、消したんだろうが。
「大丈夫です。
バックアップ取ってますから。
すぐ戻ります」
手短に通話を切って彼女に向き直る。
だけど彼女は先程の表情が嘘のように、普段の余裕の表情に戻ってしまっていた。
「ごめんね、戻る時間ね。
何かトラブルあったの?」
「部長がファイルを消してしまったと」
「機械オンチだものね、そっちの部長は」
「分かってないくせにいじるんですよ」
せっかく彼女が心の深層を見せてくれた気がしたのに。
席を立ちながら、タイミングの悪さが少し残念だった。
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