第4章

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「まあ、今回みたいなことがないよう、俺も適当にあいつのご機嫌とっておきますよ」 落ち着かなくなった気分をごまかすように、話を切り上げた。 小椋は気分の浮沈が仕事に直結する奴だし、今度の同期会ではあまり邪険にしないでおこう、と。 「そう、アメといえば…」 まだ何か文句を言いたそうにこちらを向いた先輩から視線を剥がし、コートのポケットから土産の包みを取り出した。 「先輩に土産です」 買うはずのなかった土産。 渡すつもりもなかった。 でも先輩でなきゃ意味がないから、捨てるつもりだった。 「シュガーリップ、知ってますか?砂糖入りの」 現地の女性社員のアテンドで取引先を訪問した帰り、通り道だからと言う彼女に付き合い立ち寄った店。 リップを選ぶ女の子達の幸せそうな笑顔を見ると、先輩に贈りたくなった。 「あっ!これ、雑誌で見たの!」 先輩は知っていたらしく、包みのロゴを見るなりパッと顔を輝かせた。 かと思うと急にしかめっ面になった。 「これ、小椋さんにもあげるの? 薬入りのアメってこれのこと?」 「違いますよ」 小椋に土産をやったことなんて、ただの一度もない。 よほど嫌いなのか、先輩はやたら小椋にこだわる。
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