第4章

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彼女から傍らの未決文書の山に視線を移して、仕事に頭を切り替える。 小椋の騒音からも解放されてしばらく仕事に没頭していると、社内メールの着信アラートがついた。 区切りのいい所まで作業を済ませてから事務的にそのメールを開いた俺は思わず二度見した。 送信元は”亀岡美紀”。 あの新年会の時、先輩と俺が一緒にタクシーに乗ったことを小椋が知ったらしいと、状況を伝えるだけのごく簡潔な数行メールだった。 …どうする? 返事を求める内容でもないのでメールを閉じかけたけれど、ふと手を止めた。 先輩が俺に自ら関わってきたことは今までになかった。 できれば二人の間で起こったことを揉み消そうと、そんな気配ばかりだった。 あの翌朝だって、朝食の時に気まずそうに固まる彼女を少々面白がっていじり過ぎたせいか、同じ空気を吸うのすら避けたいと言わんばかりの態度で逃げ出して行ったし。 だから俺も頭を冷やそうとアメリカで足掻いたのに。 単なる口裏合わせのメールだとしても、その内容以上に彼女がメールしてきたことが気になった。 辛い時に吐き出せる相手は、嫌われても構わない俺ぐらいなのかもしれない、と。
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