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その意味深な問答への疑念は、ようやくアテンドを終えて通常業務に戻れた金曜日になっても俺の頭の隅でくすぶっていた。
早朝から机上に溜まりに溜まった細かな案件を片付けていると、正面の席に彼女が出社してきたのが見えた。
ここ数日は忙しすぎて、姿を見るのは久しぶりな気がする。
周囲とにこやかに挨拶を交わす彼女の笑顔に、またあの問答が浮かび上がってきた。
課長が亀岡先輩の退職の可能性を匂わせたということは、そういう話を先輩としたということか?
“時々、逃げ出したくなるの”
片桐主任達の幸せを見せつけられる状況から体裁良く逃げ出すチャンス。
先輩は乗るだろう。
パソコンを打つ手を止めて、隣の席を眺める。
今、課長はミーティングルームでもうすぐ着任予定の深沢さんと人事関連の打ち合わせ中だ。
片桐主任の結婚に向けた動きが水面下で確実に進んでいることを実感させられる今は、それでいいんだと思うのに。
またあの夜みたいに、溜め息が漏れてしまう自分が情けなかった。
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