1351人が本棚に入れています
本棚に追加
「篠田君のアドバイスを実践してみたの。ほら、自発的に頑張りたくなるような薬入のアメって」
彼女は妙に明るい声で勢い良く喋り始めた。
「彼女、雑誌の取材対応をずっとやりたがってたから、一度任せてみることにしたの。広報に掛け合って」
取材の話は既に知っている。
昨日、小椋から大はしゃぎのメールが来たからだ。
広報の判断が意外だったから、なるほどと合点がいった。
「それで彼女に決まったんですね」
小椋が陰で先輩の記事をけなしていることを思うと先輩がいじらしく思えて、何か励ましをと言葉を探した時。
不意討ちのように、蔑んだ声が飛んできた。
「へぇ、もう知ってたんだ?
小椋さんと仲良しなのね。
先週も二人で出かけてたし」
二人で出掛けたのはそっちだろ?
小馬鹿にした口調に、つい抑えこんでいた苛々が飛び出した。
「別に?同期会に行った程度で仲良しと呼ぶならそうなんじゃないですか」
「同期会?」
「そっちも仲良しですね」
ダメだと思うのに。
「誰と」
「古いのやら、新しいのやら」
「古いのって何よ、その言い方」
先輩も怒気をあらわにして立ち上がった。
最初のコメントを投稿しよう!