第5章

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「なんて言い方するのよ!」 彼女の目がカッと燃えた。 俺に向かって振り上げられた手を掴んで壁に閉じ込める。 怒りにしろ嫌悪にしろ、彼女が俺に向ける感情全てが愛おしくて、もっと苛めたくなる。 無関心よりずっといい。 「そんな訳ないじゃない。そんな誰にでも、みたいな言い方…」 「だって、そうでしょう?」 廊下で誰かの話し声がこちらに近づいてくるのにも構わず、鼻先が触れるほど顔を近づけた。 甘いリップの香りで余計にそそられる。 「迫られるとフラフラしてるじゃないですか」 俺と寝て、課長に応じて。 片桐主任にだって未練を捨てきれてない。 破壊的な衝動が込み上げる。 今、キスしてしまえばどうなる? 「やめてよ…誰か来たら…」
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