第6章

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その時のアルコールが今頃きいてきたのか、翌週はずっと頭が割れるように痛く、身体も鉛のように重たかった。 「篠田君、体調悪い?」 引き継ぎの打ち合わせ中、正面に座る羽鳥課長が尋ねてきた。 「顔色悪いね」 「…いえ。大丈夫ですよ」 羽鳥課長は妙に血色がいいのが憎たらしい。 「体調管理頼むよ、篠田君! 篠田君が倒れたら米州部は潰れるから!羽鳥君もいなくなるし」 部長の大声が頭に響いて、思わず顔をしかめた。 「いやいや。ちょっと飲み過ぎただけですから」 ついうっかり口にした言葉に、羽鳥課長が愉快そうに絡んできた。 「へぇ?篠田君が珍しいね。 飲みたくなるようなことでもあった訳?」 「いえ、何も」 普段は感心して眺めている羽鳥課長の洞察力が、今だけは鬱陶しい。
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