終章

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「篠田君、まだ終わらない?」 「はい。電気は僕が消しておきますからお先にどうぞ」 「無理するなよ、連休なんだし」 「もうすぐ終わりますから大丈夫ですよ。お疲れ様です」 連休初日。 最後まで残っていた欧州部長が帰ってしまうと、ため息を漏らして傍らに積んだ契約書のファイルの山を眺めた。 「終わる気がしない…」 ここ数ヶ月、新規契約が続いたのに加え、この1ヶ月は羽鳥課長の引き継ぎでさらに忙しくなっていた。 俺ばかりに仕事が回ってくるのは気のせいか? 「なんでだ…?」 羽鳥課長との数日前のやり取りを思い出して首をひねる。 もう十分に契約を抱えているのにこの一週間で羽鳥課長にさらに上乗せされ、少し頼りない同僚がしでかした契約不備のリカバーまで頼まれた。 『だって守口君はミス多いし安心できないでしょ?ここだけの話』 『…にしても高畑とか横谷とか、手が空いてるのが他にいるじゃないですか』 俺が仕事の文句を漏らすことは滅多にない。 だけど、この上乗せはどう考えても合点がいかない。
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