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一晩中何度も抱き合って、カーテンがうっすらと青を帯びてきた頃、ようやく俺達は満たされてまどろみ始めた。
「……朝、また逃げたりしないで下さいよ」
ふと目を開けて彼女の髪に囁くと、彼女は腕の中で眠そうに目蓋を開けた。
「…大丈夫」
俺に身体を擦り寄せながら、彼女はとろけるように微笑んだ。
「……私、好きになったらしつこいのよ」
「…知ってます」
ずっと見てきましたから。
「覚悟しててね」
とろとろと目蓋を閉じて、彼女が呟いた。
「今度は十年なんかじゃ、済まないんだから……」
緩やかな微笑みを残す彼女の唇に、起こさないようにそっとキスをした。
これからも彼女はたった一言で俺を振り回し、そんな彼女に出会ってしまった俺は下僕であり続けるんだろう。
そんな星の下に生まれたことを喜んでる俺も、やっぱり両生類だ。
そして数時間後の洗面所で、さっそく俺は女王様にこてんぱんにやられることになった。
誰のか分からない、謎のポーチのせいで。
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