終章

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翌朝、かなり遅くに目覚めてからしばらくベッドで過ごした後、彼女の要望…というより半ば命令で一緒に風呂に入った。 うちは普通のファミリータイプの作りだけど、さすがに大人二人だと浴槽が狭い。 おまけに二人とも長身だし。 前に重なる先輩に文句を言われないよう、俺はぺったんこになって浴槽にへばりついていた。 「ねぇ」 濡れたうなじにそそられながら、でもキツいしそろそろ上がりたいなと考えていると、彼女が尋ねてきた。 「…私と一緒にお風呂入るの、嫌だった?」 俺が乗り気じゃなかったのが気に食わなかったらしい。 「嫌がってなんかないですよ」 「じゃあ、なんで?」 「…あまりそういうのしたことないんで」 本音は、昨日の今日で俺にはまだ刺激が強すぎるからだけど。 だけど彼女は目をキラキラさせてくるりと振り向いた。 上気した素っぴんの頬についた水滴を舐めたくなる変態っ気を我慢。 「ほんとに?遊んでたのに?」 「遊んではないですが…そうですね」 旅行とか、いかがわしいホテルなんかの場合を例外とすれば。 というか、いちいちあまり覚えてない。
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