終章

33/37
前へ
/37ページ
次へ
「…わかった。じゃあ約束して」 先輩は俺の濡れた髪に手を差し入れて引き寄せた。 なぜかすごく楽しそうな表情だ。 「今後は絶対、他の女の子と寝ちゃダメよ」 「当たり前ですよ!先輩がいるのに」 「でも今までの例があるでしょ」 「それは先輩が手に入らないからで…昨日言ったじゃないですか」 彼女に触れてしまったが最後、もう他は受け付けなくなってしまったんだから。 たぶんこの災難は一生続く。 「あと、女の子と二人で食事に行くのもダメ」 「…はい」 「なんで返事が遅いの? そうだ、管理部の子とは?」 「管理部…? ああ、行きましたよ。三人でね」 「三人?」 「二人だとややこしいんで、中野も連れていきました」 「最後はまた中野君が泣いて終わった訳ね?」 「そうです。期待通りに」 「ほんと、狡くて嫌な男」 「中野が?」 「篠田よ」 先輩がキュッと抱きついてきた。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1295人が本棚に入れています
本棚に追加