終章

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柄にもなく泣きそうになるのを堪えるうちに、ここのところの忙しさで寝不足だったせいか、そのまま俺はウトウトと居眠りをしてしまったらしい。 「しの…だ…」 夢うつつに俺を呼ぶ先輩の声を聞いた。 半分目覚めた頭で、そうやって夢の中で俺を呼んでくれるなら、もうしばらく眠っていたいなとぼんやり考える。 「篠田…」 夢品質のせいか、先輩にしては変なガラガラ声だ。 声はだんだんに大きくなって、摺り足の足音まで聞こえてきた。 徐々に頭は覚醒してきたのに、夢の中のはずの音は消えるどころかフラフラ近づいてくる。 幻聴まで聞こえるとは、俺は相当いかれたのか。 ゆらりと明かりに影がさした気がして顔から腕を外し振り向いた俺は、声も出せずに座ったまま飛び上がった。
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