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菊花は肩をわなわなと震わせ、息を大きく吸い込む。
「あんたー!どんだけ鈍くさいんよwww」
「はぁ!?」
大笑いしながら言い放った菊花!
心配しているのかと思った隆義は、意外な一言に思わず目を丸くする。
「何だよそれーッ! 俺だって頑張ってやったんだぞーッ?」
「ジェロニモと……www ズッコケとるのとwww……まさか鉄砲と綱引きして弾き飛ばされとるのとwww……笑うな言う方が無理よwwwwww」
「「はわわわわわ……!」」
心ときゅーちゃんが動揺しながらよく似たリアクションを返しつつ、だが隆義はそんな事はどうでも良い様子で──
「俺だって、俺だって──遊びでやってんじゃねェんだよォォーーーーーッ!!」
怒りで声を荒げ、ただ感情を叩きつけるように叫んだ。
その叫びを聞きながら、隣の──先程まで、心と菊花が居た──部屋では……。
「うるさいにゃ……」
彼女はそう言いながら、黒髪と一緒に生える猫のような耳を押さえる。
「あれだけ叫べるなら、大丈夫そうです。……皆様、ご協力感謝します」
この猫耳少女の目の前には今、あいちゃんともう一人──。
「お礼には及ばないよ。彼の行動があったから、僕らは無事というわけだからね……」
落ち着いた声の主は他でもない。聖叉だ……。
壁を一つ挟んだ保健室からは、口論の末にドタバタと大きな音が響き始めている。
「キッシャアアァァァァァァァァーーーーーーーーーー!!」
ガッターン!
「あっはっはっはっは! 甘いわよ弟ー! どっかの初号機のつもりー? 全然当たってないんだけどー?」
「キエエエエエエェェェェェェェェーーーーーーーーーーーーーーッ!!」
バキン! ガシャーン!
色々な物が破壊される凄まじい音に、隆義の怒号、煽る菊花の声……。
そうこうしている内に、隣の部屋から髪の長い少女が涙目になって避難してきた。
「ちかちゃん聖叉ちゃん助けてほしいの! 大暴れで手がつけられないの~!」
「どーかにゃ……。ねーさんの方が煽りまくってるようにゃ、仲裁しても止まるかにゃ……?」
「彼、今は頭に血が昇っているようだし……落ち着くのを待った方が良さ──」
グ キ ッ ・ ・ ・ ドカッ!
「はわーっ!!」
骨がどうにかなるような凄まじい音から一瞬遅れて、心の叫び……。
流石に何事か──最初に動いたのは、猫耳の少女・ちかだ。
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