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そして当日。はやる気持ちを抑えて10分前に約束した場所に行くと
既に優花さんが待っていた。
「遅刻よ、長谷川」
「え、でもまだ10分前ですよね」
ボクは時計を確認したが、やっぱり約束の時間より早かった。
「アタクシが待った時点で遅刻なの!」
今日も”上から”全開だ。先がちょっと不安になった。
優花さんは顔を背けて右手を差し出してきた。透き通るような白い手だった。
早速手をつなごうとした。だがボクの手が触れた途端サッと引っ込めてしまった。
「優花さん、恥ずかしがらずに…、手をつながないと確かめられませんから」
「恥ずかしがってなどいないわ、手をつなぐぐらい何でもないし」
そう言ってボクの手を掴んできた。やさしく握ると彼女の手は柔らかだった。
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