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僕たちはゆっくりと歩き出した。桜はほぼ満開の状態で、花びらが並木道に
ハラハラと舞い降りていた。その風景は神秘的で、もしかしたら伝説のような
ことが起こっても不思議ではないと思えるほどだった。
周りは家族連れが多かった。僕たちのように手をつないだカップルも結構いた。
並木道を入ってすぐに、何となく神妙な声で優花さんが尋ねてきた。
「ねぇ、長谷川」
「何ですか?」
「なぜクラスのみんなはアタクシをさけるのでしょう?」
「クラスのみんなは小野寺さんが”お嬢様態度”を取るから付き合いづらいと思って
いるのですよ」
「はっきり言うのね」
「ということは自覚はあるのですね、だったら改めればいいだけです」
「では、長谷川はなぜアタクシと普通に話してくれるの?同じクラス委員だから?」
(それはボクが優花さんを好きだから)
口が裂けても言えない気持ちを抑えてどう答えようか考えていると、3~4才ぐらいの
女の子に気がついた。半泣きでキョロキョロと誰かを捜しているようだった。
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