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3月
冬の寒さはすっかり睡眠に入って、日差しも柔らかくなる季節。その、3日の日と言えばそう、ひな祭り!
一人娘の私はそれはそれは大事に育てられ、小学校2年生までは桃の節句にはおしゃれして、写真を撮ってもらっていた。(その後は私が恥ずかしくなってやめたんだよね)
「ゆーくんっ、ゆー!みて見て!!キレイでしょー?」
「昔の人みたいな服だね」
「もー、なんでそーゆーこと言うの!?」
幼なじみの“ゆーくん”はいつも冷静、まあぶっちゃけ冷めてて生意気な子で、こんな反応は慣れっこだった私。
「わああきれー!見て、ゆーくん、桜!!」
「違うよ、あれは桜じゃなくて梅の花だって、先生言ってた」
「いじわるー!桜だもん、桜の花だもんっ!!」
「いてっ、叩くなよ、サクラ!!」
そう、私は自分の名前と同じ“サクラ”が大好きなのだ──
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