書生孔明、人生を決める

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「何を成し遂げたいのかわからぬ、大志のない御方のような…」 「兵略に鋭さがあるとは特に聞かないが…」 「博望で勝ったとはいえあれは撤退時のこと、中原南郡への進出は頓挫したようだぞ」 「この時勢に漢室の末葉を名乗っておる時点で大した器量ではあるまい」 「むしろ宗室の家につらなる身でありながら王朝への関わり浅さが不思議だ。許昌で左将軍を拝命していながら、その許昌を捨ててさっさと逃げ出しておられる。勤王とは程遠いよほど酷薄なお人なのではあるまいか」 「勅命を蔑ろにしたという噂さえもある…」 「身分に拘らず赤心を持って人と交わるお方と聞いた、王室の権威を鼻にかけるような小人物ではないと言えるのではないか」 「人としての魅力はお持ちでも、やはり世をただすほどの大義をお持ちの御仁とはとても見受けられないな…」
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