書生孔明、人生を決める

6/33
前へ
/33ページ
次へ
 大志を声高に叫ぶこともなく、大陸を漂泊し、そのうえ公孫さん、陶謙、呂布、袁紹と劉備が身を寄せた群雄たちは曹操を除いてことごとく衰亡している。劉表と襄陽もそうなるのではないか。  乱世にあって比較的安寧であった荊州に乱を持ち込む者に劉備はなりえた。とすればその存在は彼らにとっては厄災と同じになる。  だがそれでも、襄陽に腰を落ち着けてはや七年になるこの正体不明の巨星、幾度も浮沈を繰り返し乱世を生き抜いてきた男に彼らは畏怖していた。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加