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足下に落ちていた桜の花びらが、一斉に舞い上がる。
それはさながら桜色の壁。
「おお、すっげ……」
どこか幻想的なその光景に俺が感動していると
「薫」
不意に満の声、同時に満の手が桜の壁を突き破って延びてきて、俺の手を掴む。
「満……?」
戸惑う俺、それを無視するように桜色の風はどんどん強くなっていき、そして
「……は?」
ふいに桜が散り、視界が広がる。
いつの間にか俺の手を掴んでいたはずの満の手が無くなっている。
いや、それよりも
「どこだ、ここ」
視界に入ったのは木製の床と天井、そして目の前に立つ小太りの少年。
自分と同じぐらいの歳であろうその少年は、俺の方を見て不適な笑顔でこういった。
「やあ勇者よ。ようこそ、異世界『チェリーブラッサム』へ」
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