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2.だって可愛いからしかたない
佐倉のログハウスから出てみると、煙を上げて倒れる桜のまわりをかわいらしい小人たちが心配そうに囲んでいた。
「ウィザードさまー! ウィザードさましっかりー!」
「だれー、だれにやられたのー。”マイマイガー”?」
周囲を囲む小人たちに、佐倉は弱々しく笑う。
「心配するな小さき民よ。これはちょっとした、そう、男同士の友情の証といったものだ」
お前とそんな証を立てた覚えはない。
「それより、喜べチェリーブラッサムの民よ! この地にもう一人の『勇者』、ファイターが顕現した!!」
佐倉の言葉と共に、小人たちが一斉にこちらを見る。
「ファイターさま!」
「ファイターさまだー!」
「わーいやったー、これでかつる!」
わいわいと俺を取り囲む小人たち。
どうしよう、控えめにいって、その、かわいい。
「この僕、ウィザードと彼、ファイターの二人で、必ずやあの憎き”マイマイガー”を倒してみせようぞ!!」
おいこらまて、こいつ俺が小人さんたちのかわいさに戸惑ってるうちになにを勝手なことを。
「ちょ、待っ――」
「「「おおおおおおー!!!!!」」」
訂正しようとした俺の声は、無情にも小人さんたちの歓声にかき消されてしまった。
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