宛先

8/10
前へ
/10ページ
次へ
「え? 部屋まで用意してくれたんだ。サンキュ」 「……ボロいけどな」 「全然! ムショに比べたら天国だって!」 ……ムショとか言うな。 けれど、ここは本当にボロだった。 隣も空き家で都合がよかった。 ボロだから家賃も安い。 数年は俺の給料で払うことができるだろう。 「うわー、すげー、俺の部屋かぁ。なんかめちゃくちゃ嬉しいなぁ」 こいつがここで死んでも、誰も気付かない。 俺は隠し持ったナイフを背中の後ろでぐっと握った。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

79人が本棚に入れています
本棚に追加