第3章 離れ家

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第3章 離れ家

 夕刻に戻ってきた将治は山ほど反物を持ってきた。上等な絹で織られた、 花柄や小紋など女性らしい華やかなものばかりだった。 「着物がなくては不便だろう、これを結に縫ってもらうといい」 「……おれの着物?」 「わたしと言えと言ったろう」  凛はとたんにムッとした。 「ヤダ!」  将治は顎をつかみ自分へと向かせた。 「わたしだ、言ってみろ」 「イヤだってんだろ!」  将治は腰紐を掴み、凛の尻を引っぱたいた。 「わたしだ!」 「ヤダヤダヤダヤダ!!」  ムッとした後、また2、3発尻を叩いた。 「言えるまでは承知しないからな、いいな!」 「イヤだーーーー!!」  凛は散々突っぱねたが、将治も容赦はなかった。なので最後には凛が根負けした。 「……わたし……」 「そう、これから自分のことはそう呼ぶんだ、いいな」  良くなどないが、もう尻は真っ赤に腫れ上がり、これ以上叩かれるのは御免だった。 「返事は!?」 「……はい……」  屈服されられたことに内心はムカムカしていたが、逆らう気力すらもう残っていなかった。 「結!」  2人の様子を陰でハラハラしながら見ていた結はすぐさまやって来た。 「はい、旦那さま」 「これを凛に合うよう縫ってくれ、ひとつは急ぎで」 「はい、承知いたしました」  反物を抱え、結は出て行った。
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