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食事の時には縄を外してもらえた。
とはいえ、ちゃんと箸を使わないと将治に手を叩かれるので、イライラしつつの食事で、
とても楽しいものではない。
夜は夜で、また昨夜と同じようにされた。暴れて抵抗したが、
「諦めて慣れろ」
と、言って無理矢理押し通された。
凛にしてみれば一日中不愉快なことばかりだった。
それでも色々あって疲れ果て、将治の腕の中で泥のように眠りについた。
翌日の夕方に、結は着物を仕上げてきた。
花柄の小紋を着せられた凛は不機嫌そうに、
「こんな女みたいなベベはイヤだ!」
と、言い放った。
「みたい? おまえも半分は女だろう」
「半分は男だ! 女などになるつもりはない!」
「おれと暮らしていればおまえの役回りはどうしたって女だ、諦めて慣れなさい」
“諦めて慣れろ”
将治の言い分はそればかりだった。
「なんでおまえのためにおれが女にならないといけないんだ!」
「わたしだと教えただろう!」
またぶたれるのはイヤなのですぐさま、
「わたし」
と、言い直した。
「おれのためとかどうかじゃなく、成り行きで仕方がないだろうと言っているんだ」
凛は口をへの字にして将治を睨み返した。
「とにかく慣れなさい、いちいち逆らってもお互いにイライラするだけだろうが」
逆らおうが逆らわなかろうが、ここへ来てからイライラしっぱなしだった。
なんでこんなことになったんだろうと思いつつ、凛はそっぽを向いた。
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