第3章 離れ家

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 その日、いつもの通り夕刻に来た将治に、 「こんな着物などいらない」  と、凛は言った。 「なんだ、いきなり」 「これはすごく高価な布だって結から聞いた、そんな高価な着物などいらない!」  将治は不機嫌そうな表情を浮かべた。 「おまえのためにわざわざ用意したんだ、文句を言わずに黙って着ていろ」 「そんな高価な着物などいらない! おまえや結と同じヤツでいい!」 「旦那さまと呼べと言ってるだろう」  今までも散々それは注意されていた。 「イヤだ!!」  凛は凛で、そのたびに突っぱねていた。 「とにかく、せっかくくれてやったんだからおとなしく着ていろ、 つまらないことでグズグズ言ってイライラさせるな!」  凛はすべてにおいて逆らうので、そのたびに衝突する。 全部にかまっていたら神経が磨り減るだけだった。
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