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「26だ」
30を迎えたら祝いをするぐらいの平均寿命であるので、
26とはいえ若いという部類には入らない。
考えていたより自分と歳が離れていたので凛は意外に思っていた。
「風呂も入ったし次はメシだな、おまえの世話をする者も必要だから一旦屋敷へ戻るか」
そう言うと将治は立ち上がった。
「すぐ戻る、おとなしく待っていろ、いいな」
念を押してから離れを出て行った。
残された凛はどうしたものかと広い部屋を見渡しながら考えていた。
逃げるなら今しかないだろう。けれど逃げたところで行くあてなどない。
この外見ではどこへ行こうが鬼扱いされ迫害されるのがおちだった。
ここに留まるのが今のところ最良の選択だろうと結論を下し、おとなしく待つことにした。
言葉通り、さほど待つこともなく将治は長身の女性を連れて戻ってきた。
「結だ、今日からおまえの側付きにする」
「よろしくお願いいたします」
結は深々と凛に頭を下げた。
人から頭を下げられたことなど生まれて初めてだったので、
凛は戸惑った表情で将治を見返した。
「せっかく挨拶をしているんだ、なんとか言ってやれ」
「えっと、よろしく……」
結はうれしそうにニコリと微笑んだ。
男でも大柄な将治よりも少し背が低い程度という大きな女性だが、
顔立ちはとても優しい。なので凛もホッとしていた。
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