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第2章 逃亡
食事の後も将治はチビチビと酒を飲むのみで、取り立てて凛に話しかけたりしなかった。
退屈な凛は膝を抱えて外を眺めたりしつつボーッとしていた。
「床の用意ができました」
結がそう知らせに来たのはだいぶ夜が更けてからだった。
将治はうなずいて立ち上がった。
「寝るぞ」
凛はびっくりして彼を見上げた。
「なにをしてる早くしなさい」
腕を引っ張られ立ち上がらされ、そのまま連れて行かれた。
それまでいた部屋より幾分小さい部屋に床が用意されていた。
ところが布団は一枚でそれに枕が二つ並べてあったので、凛は仰天して将治を見上げた。
「どうした」
思わず凛は腕を振り払った。
「なんだよ、これ!?」
「おまえは今日からおれのものだと言ったろう?」
具体的に知識があるわけではないので、なにがどうとかはわからないが、
本能が危険だと警告を発していた。
「イヤだ! おれは別の部屋で寝る!」
「おれじゃないだろう、これからはわたしと言いなさい」
どっちもイヤなので逃げようとしたが、すぐに将治に腕をつかまれた。
「なにをしてる、グズグズしてないで来なさい!」
「イヤだ!!」
必死に暴れたが抱き上げられ強引に布団の上へ落とされた。
「イヤだ! なにする気だ!?」
バタバタと盛大に暴れながら叫んだ。
将治は上からのしかかり暴れるのを押さえながらニヤリと笑った。
「おまえをおれのものにするのだよ」
「意味わかんない! 離せ!!」
「そのうちわかる、いいからおとなしくしていろ」
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