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「でも・・・」
順一は口を閉ざした。
順一は目の障害について大きなハンデキャップがある、それを無視して
自由に話せないもどかしさを感じているのだろう、
もっと自身を持って、私に気を使わなくてもいいからと紗枝は思った。
と同時に学生に突き倒された順一の姿を思い出して胸が痛んだ。
「順一君」
紗枝は立ち止まってはっきりした口調で言った。
順一も何かを感じて立ち止まった、エミも尻尾を下げて紗枝を見上げた。
「はっきり言っとくわ、私は順一君の彼女になるからね、
順一君は私の彼氏だから」
少し時間が過ぎてから順一はうんと答えた、しゃがんでエミを抱き
よかったなと呟いた。
目の前に自分がいるのにエミに抱き付いた順一の照れ臭さがよく分かった。
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