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その日の夕方紗枝は実家に着いた。
母里江は表情を変えず紗枝を出迎えた。
夕食が出来ていると言っただけだった。
食卓では父浩二が一人で食べていた。笑顔で紗枝を迎えた。
「よう、元気だったか、お前アルバイトやってるんだって」
「うん、スーパーのお肉屋さんでやってる」
「いいとこ見付けたな、頑張って続ければお前も一人前の社会人になれるよ」
里江と同じく否定的な言葉が出ると思った紗枝だったが意外だった。
「お父さん知ってんの、スーパーの仕事」
「知ってるよ、スーパーでも百貨店でもな」
スーパーや百貨店の中で一番難しい部門は食料品売り場である、
特に生鮮食料品は難しい、時間が経つごとに鮮度が下がり、商品価値が下がる、
それをコントロールするのが仕事だ、肉体的、精神的にもハードな仕事だ。
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