出会い

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「残念ね、ごめんね紗枝、私だけ受かっちゃって」  奈美は紗枝を慰めた。  紗枝は奈美から優越感を感じ取った。 重い気分にはなったが自分が合格できなかった事なのだ。 責められるのは自分の方だと思った。紗枝も合格していれば 選ばれた者として自慢していたに違いない。  その頃から紗枝は内向的になった。奈美の誘いも殆ど断らなくなった。  奈美は自分の何倍も青春を謳歌しているように見えた。  奈美は紗枝に気を使って男子学生を連れて来た。 「紗枝の好みのタイプでしょ」  強引に酒を飲まされホテルへ連れて行かれた。紗枝は後悔したが 彼が好きになった。男は当然のように紗枝のアパートに住み着いた。  大学の仲間も出入りするようになり、生活も楽しく派手になったが、 それは単なる錯覚だった。  男は奈美と付き合うようになり紗枝とは会わなくなった。
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