140人が本棚に入れています
本棚に追加
/151ページ
「残念ね、ごめんね紗枝、私だけ受かっちゃって」
奈美は紗枝を慰めた。
紗枝は奈美から優越感を感じ取った。
重い気分にはなったが自分が合格できなかった事なのだ。
責められるのは自分の方だと思った。紗枝も合格していれば
選ばれた者として自慢していたに違いない。
その頃から紗枝は内向的になった。奈美の誘いも殆ど断らなくなった。
奈美は自分の何倍も青春を謳歌しているように見えた。
奈美は紗枝に気を使って男子学生を連れて来た。
「紗枝の好みのタイプでしょ」
強引に酒を飲まされホテルへ連れて行かれた。紗枝は後悔したが
彼が好きになった。男は当然のように紗枝のアパートに住み着いた。
大学の仲間も出入りするようになり、生活も楽しく派手になったが、
それは単なる錯覚だった。
男は奈美と付き合うようになり紗枝とは会わなくなった。
最初のコメントを投稿しよう!