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すみませんと謝る男を突き飛ばした。
停めてあった自転車の中に男は倒れた。
犬が静かに男と学生の間に立った。
学生は犬の腹を蹴った、犬は動かず立っていた。
蹴られながらあごを上げて紗枝を見ていた。潤んだ目で
紗枝に助けを求めていた。
紗枝は暴れる男の腕を引っ張って歩かせた。
犬は首を曲げて紗枝の背中を見ていた。
紗枝と学生が交番の前に来た時、紗枝は帰ると言った。
学生が騒ぎ出し警官に取り押さえられた。
紗枝は盲人の男性を探すために道を引き返した、男性も犬も心配だった。
犬は自分を完全に認識していると思った。あの犬に
人間の言葉が話せたらどうなるだろう、
「ご主人が傘を貸したあの女、ご主人をいじめた男と一緒にいたよ」
とか、
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