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目黒川
目黒川が桜の名所として騒がれるようになったのは、いつからだっただろう。
ここで暮らすこと30年。
閑静な住宅街は、すっかりその姿を変えてしまっている。
僕にとって、中目黒は生まれ育った地元だ。
桜が咲くころになると、僕はあの頃の町を思い出す。
ここの細い路地の入口にパン屋さんがあった。
手前のこのあたりには、小さな雑貨屋というか、ちょっとした家電製品とかも置いているお店があったっけ。
パチンコ屋が何軒かあって、ガード下のこのあたりだったか、ゲームセンターもあったはずだ。
子どもの頃のことだから、あまりよく覚えてはいないけれど。
あれから、ずいぶんと入れ替わったものだ。
薬局やら中古書店やらが、建っては消え、また消えては建って、今の風景になった。
区役所は移動して、駅のそばには大きなビルも建った。
今でこそ、駅前はおしゃれになっているが、かつて
はこんな町ではなかった。
本当は今だって、ここは住宅街なのだ。
そう、僕らはここで、当たり前の生活をしている。
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