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「宮急鉄道、西都線をご利用いただきまして、誠にありがとうございます。次は西都大学前です。お出口は右側になります。都営地下鉄、荒城線はお乗り換えです」
いつもの風景だった。
朝、寝ぼけ眼で電車に乗り、大学へ向かう。
途中友達の祐樹と合流して、前の日に見たYouTubeの話をする。
いつも通りだった。
いつも見ている風景だけに、細かな変化に気付いてしまった。
それは電車のスピード。
そしていつもよりも細かく大きい電車の揺れ。窓がガタガタ音を立てて揺れていた。
その瞬間、
――キィィィィィィ
聞き慣れない程の恐怖心を煽るブレーキ音が聞こえるのと同時に、電車が雑巾絞りのようにひねられて、ガラスが次々に割れていった。
電車は横転し、壁に強く叩きつけられてから、その後のことは全く分からなかった。
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