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長いようで短かった高校生活が終わる。
就職する人、大学に行く人、短大に行く人、専門学校に人。進路は人それぞれ。
友達とも離れ離れに。
いつも隣にいた。
これからも私の隣にいる。そう思っていた。あの時までは。
「俺、東京の大学に行こうと思う」
「え・・・そ、そうなんだ」
「汐莉は地元だったよな?」
「う、うん」
何も言えなかった。
“なんでもっと早く言ってくれないの!”
声に出して言いたかった。
言ったところで、離れた東京の学校に行く勇気はないから、何も変わらないけど。
幼馴染みの大志とは家が隣ということもあって、いつも一緒だった。
小学校、中学校、高校。そして、大学は別々でも、お互いいる場所は変わらない。そう思っていた。
けど、それも今日で終わってしまう。
そうならないために、私は今日ここにいる。
たぶん、私の思うようにはいかない。何となくそんな気はするけど、言わないで後悔するのはイヤだ。
「もう、神頼みしかないかな」
校庭の脇に立つ、一際大きな桜。
ここで告白すれば、付き合うことができる。
定番といえば定番だけど、今はそんな迷信にすらすがりたい。
「ごめん。遅くなった」
「そんな遅れてないよ」
もしかしたら、来ないんじゃないかと思った。
ここに呼び出すということは、そういうことだとわかっているだろうから。
「話って?」
「うん・・・」
普段なら、すらすらと言葉が出てくるのに、胸の鼓動しか出てこない。
ドクッドクッと、周りの雑音を掻き消すように大きな音が私の頭の中で木霊してる。
「あ、あのさ・・・わかる、よね?」
「まあ、なんとなくは」
ああ、頬を軽く掻きながら、困ったように微笑むその仕草もこれからは見れなくなるのかな。
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