第一章

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「本当に東京の大学に行くの?」 「行くよ」 「そっか。そうだよね」 「腐れ縁といえば聞こえはよくないかもだけど、小学校からずっと一緒で大学も地元で変わらないと思ってた」 「俺もそう思ってわ」 「でも、そうはならないんだよね。私、大志がずっと、ずっと好きだった。大学は別々で離れてしまうけど、今度は、幼馴染みから、卒業したい。大志の彼女になりたいの!」 顔が熱い。今、きっと真っ赤になってるだろうな。 大志の顔が怖くて見れない。早く応えてくれないかな。 1秒が5分にも10分にも長く感じられる。 「ごめん」 時間にすればたった数秒の間だけど、大志が答えをくれる。 「汐莉が嫌いなわけじゃない。これからは、簡単に会える距離じゃなくなるし。お互いやりたいことがあると思う。たとえ付き合ったとしても、きっとお互いの為にならないと思う。だから、付き合えない」 わかってた。 大志は優しいな・・・はっきり答えをくれる。 だから、好きになったんだよ。 「うん・・・ありがとう」 小さくて聴こえてないかもしれないけど、これが今出せる精一杯の言葉だよ。 「ごめん。先行くね」 返す言葉もなく、ただ私は地面を見つめる。 なんでだろう。大志との思い出が溢れ出てくる。 何とか顔をあげられると、大志の後ろ姿はどんどん離れて、校舎の中に消えて行った。 「・・・フラれちゃった」 神様のばか。 都市伝説のウソつき。 上手くいかなかったじゃん。桜の木のしたで告白したのに。 「ああー。空が碧い」 雨でも降ってくれてればよかったのに。 「もう、大志とは会わなくなるのかな。そんなのイヤだな」 涙は嬉しい時に流したかったな。 もう一度天を仰げば、神様のせいでも、都市伝説がウソだったせいでもなかった。 「なんだよ。一輪も咲いてないじゃんか」 桜が満開の頃に言えばよかったのかな。
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