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 周囲に警戒を払いながら走行する。周囲のドライバー達に苛立ちの顔色が伺える。こんな時、車内でニコニコしているのはカップル位だ。 「そういえば、お前、彼女と最近会ってないんじゃないか?」  安西が前のカップルがイチャついているのを見ながら発した。 「えぇ、まぁ……。歯科衛生士も結構、帰宅が遅いですからね。 病院が終わった後も、20時くらいまでは残業があるようですし」 「そうか」 「あ、でも昨日は夜、少し会って、食事しましたけど」 「そうか」  今度の安西の『そうか』は安堵を伴う声だった。ゆっくりゆっくりと車は進み、高層団地集の地帯に入る。安西が住んでいる北赤羽よりも、この辺の方が生活するには色々便利だろうなと、ぼんやり考えながら走行していると、安西の携帯電話がなる。  警察専用携帯電話だった。
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