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あと何回愛してると唱えたらいいのだろう。
昨日は暖かかった。
けれど今日はすごくさむい。冷たい雹を彼女は見ただろうか。それはまもなく雨に変わったけれど、冷たい雨に彼女は気づいただろうか。彼女は外を見ることがすきだから。きっとどんな景色だって、彼女には新鮮だから。
携帯電話に彼女からのメッセージは昨日から1件も入っていない。
彼女は元気だろうか。元気なら僕にメールをくれる。部屋を清掃したり、ケーキを焼いたり、映画を観ていると、彼女は携帯電話に全然触れない。
僕からメッセージを送ってみる。
お元気ですか?
今日はさむいね?温かくしていますか?
メールの返信が僕はすごく楽しみだ。
彼女は僕のことをどう思っているのだろう。
そんな不安よりも楽しみのほうが先行する。僕は恋愛に関してはすごくナーバスになるけど、彼女に対してはこわがる思いがまるでない。
なぜ?彼女はすごくわかりやすいから?
でもひとつだけ、彼女の強がりが僕にはわからない。
だから僕はメッセージを鵜呑みすることを心がける。彼女の言葉。
けれど彼女の心の中身じゃない。
たまに会えるひと。
とおくでもなく、近くでもなく愛玩動物みたく、僕にまとわりつく彼女。
たまに息が切れそうになるのではないか、彼女に対してそう思うけれど、肉体を心が支えている彼女は僕といるといつも元気で。
うさぎは孤独すぎると死んでしまうの?それなら私はきっと、うらましいと思う、彼女はいつかそういった。
孤独でもひとの間でも生き抜くことは、僕達には容易くないから、本気でにげたくなるんだ。
あと何回愛してると唱えたら、僕達はにげることを考えなくなるのだろう。
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