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雪の降る日の夜、僕は施設を飛び出した。
毎日降りかかる罵詈雑言と暴力に妙かね、まだ小さい弟や妹を捨てて。
僕が居なくなったら次は誰かが標的になる事は分かっていたけれど、まだ14歳の僕には逃げる以外の選択肢が見つけられなかった。
(絶対……絶対助けに戻るから……)
寒さで悴む手を力強く握りながら、心に誓う。
必ず弟や妹を助け出すと。
その為に必要なモノは何か……。
答えは明確だった。
"金"だ。
金さえあれば僕達は親に捨てられる事もなかったし、あんなひどい施設にいる必要もなかった。
弟は4歳。妹は7歳。
せめて2人が中学に上がるまでにお金を稼がなくては。
僕のように中学校にも行かせてもらえない、奴隷のような人生なんて送らせたくない。
何をしてでも金を手に入れてみせる。
強い思いとは裏腹に、痩せこけた体は寒さに耐えきれなくなってきていた。
勢いでジャージ1枚で飛び出して来たのは間違いだった。
公園のベンチに座り体を丸める。
(少しだけ……休もう……)
そうして目を閉じると、ふっと意識が遠のいていった。
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