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あの日の夜、俺は出会ってしまったんだ。月夜の闇が似合わないほど可憐な美少女に……だが、こんな遅い時間に制服を着た少女がいるなんておかしいことだって気付いたのは夜が明けてからだった。
「どうしたんだい?そんな悲しそうな顔をして」
俺は街路灯に照らされる少女に声をかける。だが、少女はますます苦しそうな表情を浮かべていた。それに俺は戸惑った。会話のキャッチボールを行おうとしたのにボールが返ってこないどころか直撃して相手にダメージを与えてしまった。これはまずい。すぐに状況を打開しなくては……
「ほんとに大丈夫か?何か悩みがあるなら聞いてやるから」
俺はなんて下手な男なのだろう……もう少しやりようというものがあるだろ。きざなことを言えればもう少し元気づけられるのに、俺にはどうも格好いい事が言えないようで、そのせいか彼女なんていない。今日もそのダメさが健在なようでこのまま走って逃げられるのだろうと思ったその時だった。
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