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「何だか少し落ち着きました」
しばらくすると少女は屈託のない笑顔で言うと、俺から離れた。少女はさっきまでとは違いもぞもぞとしており、顔はさっきと同じ赤かった。なんだこの感じはこれが恋する女の子なのか?今まで見てきた生命体が少女と同じ女性とは思えない程可憐で純粋な乙女に見えた。
「そうか。それは良かった。君みたいな女性は笑顔がよく似合う」
「あの、すみません。私……」
俺が言うと、少女は下を向いて言った。今までとは明らかに違う。最初の時のように悲しそうではなく、何だか思い悩んでいる、もしくは言うのを躊躇っているように見えた。俺は何か地雷でも踏んでしまったか?だって、さっきまでのもぞもぞしていたのが消し飛びガラスの靴を置き忘れたシンデレラのような表情にすぐに変わったのだから。
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