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「なっ……」
男の子の顔と体は傷だらけで、
「おじさん、聞こえるの?」
額からは血が流れ、白眼を向いていた。
「ちょっ……
ちょっと待て……」
明らかに生気の無い男の子から、尻餅をつきながら逃げようとする。
「僕の声が聞こえるって事は……」
だが、差はすぐに縮まり、
「た、助けてくれ」
「おじさんも虐待したんだね」
男の喉元に噛み付いた。
血がドクドクと流れ、意識が朦朧とし始める。
死を確信すると、男の子は再び玄関に戻り男に振り返った。
「あっ……」
十年前に死んだ自分の息子とシンクロした。
喉元を両手で抑え声を振り絞る。
「ご……
ごめんなさい」
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