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「お疲れ様でーす」
「あっ、支配人! 書類のチェックお願い致します!」
「例のイベントの件でお話しが……」
「はいはい、ちょっと待ってねー」
私は池田唯。ホテルの支配人よ。
ワンレングスの髪がよく似合う、小さな顔……とはよく言われる事。
今日も、職場ではあちらこちらで電話の音やお客さんへの対応、その他従業員や新人の指導など……忙しさが私に働けとムチを打つ。
そして……
「お前、またこんな所ウロウロしてんのかよー。……はっ!」
「テメェら……数人で寄って集って、一人を虐めるなんざ良い度胸してんじゃねーか! 覚悟はできてんだろーな!? あ"ぁんっ!?」
そうやってモブ達を撃退する日も少なくはない。
……全く、私はアンタのSPじゃないのよ。早く成長して、一人前になりなさい。
ふぅ……と息を吐いていると、どこからか足音が。
三人の、私の妹の仲間。……そして。
「「「姐さんっ!」」」
「あら、貴女達……」
「今の、スゴかったッス!」
「今日もかっこ良かったですよ!」
「ケイー……お前も、姐さんみたいに強くならねーとなー」
「るせ」
不良チームのリーダーで“姐さん”と呼ばれる。
今でこそ、現役バリバリのキャリアウーマンで辺りに名を轟かせる、イケてる女性だけど……
中学の頃は、そうじゃなかったのよ。ある事が起こるまではね。
だから、今回は……その中学の頃の話を少しだけお話しするわ。
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