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「ふっ……ハハハハハッ!アハハハハハ!」
「な、何笑ってんだよ?」
「アハハハハハ! ……何でもないわよ♪只、笑いたいだけ♪……アハハハハハ!」
男子は当然、ドン引きしたけど。
これで、良い。笑ったら誰の反感も買わない。
虐められる事もない。…分かったのよ。
「ふざけんなっ!」
「ふざけてんのは………どっちだよっ!!」
私は、思い切って男子の腕を掴んで……
財布を意地でも取り返した。
自分でも、なんでこんな力が出たのかは分からない。
只の、勢いだった。……そして。
その帰り道……
門の所に出ると……
上級生らしい人達が私を待っていたのか……
ニヤッと口角を上げて近付いて来た。
「アンタ、昼間見てたよ。……つえぇんだな」
「………だから、何なのよ?」
「アタイはナミってんだ。虐められないように、力をつけてやんよ」
いきなりの事で、驚いたけど。
私は、何がなんでも強くなりたかった。
家は貧乏だから、習い事も出来ない。
自分一人じゃ、強くなるのにも限界がある。
そうよ、私は独りで強くなったんじゃないわ。
ママと、ナミが強くしてくれたのよ。
ナミの家は道場で、その内容は生半可なものじゃなかった。だけど、私はどうしても強くなりたい。その一心で、何でも堪えた。泣きたくても、泣かない。
ナミも稽古をしていて強かったから、私にはナミがついてくれた。
「甘い! もっとだ!! あたいを倒すくらいの勢いでかかってきな!! ここでは、上級生と言うのは忘れろ!」
「はいっ!」
強くなりたい。只、それだけ。
私は、自分の身を護る為……
それから、私と同じ立場の人間を護る為。
いつしか、そう言う目標が生まれていた。
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